エネルギーの通り道と美顔鍼

 

 「だいぶ表情筋が出てきましたね」

 私が治療前のご挨拶をしたところ、佐藤先生は楽しそうにそう言いました。

 喜ぶ、悲しむ、思う、怒る、驚く(五情、五志)等、このような感情を表情として顔に表せることは、身体の健康状態を保つためにとても大切なのだそうです。

 「でも、これらの表現が上手くできない人もいるのです。ストレスだったり、我慢をしていたり、原因はいろいろとあるのかもしれません。顔の経穴(ツボ)は顔面神経麻痺の治療にも用いられますが、目や脳の疲れ、頭の緊張などをリラックスさせる効果もあります」(佐藤直史先生)

 「一方、今まで鍼灸治療は病体に対する施術として行われていましたが、最近では年齢と共にでてくる皺や顔の表情が落ちてくるなどの症状に働きかける美顔鍼というものが注目されるようになってきました。」(佐藤直史先生)

 そう言って、佐藤先生は経絡図なるものを見せてくださいました。

任脈

 経絡とは、人体の中の気や血などといった生きるために必要なエネルギーの通り道。そして、この通り道の途中途中に経穴(ツボ)があり、お互いが経絡で繋がり影響しあっています。たとえば、肛門と性器との中間点にある会陰から始まり、身体の全面を通って下唇の下部分の中央にある承しょうで終わる経絡があります。痔などを患うと、この身体の中心線上にある部分がすべておかしくなってゆくこともあるそうです。

 私は、普段の生活ではほとんど意識することがない、エネルギーの通り道の存在に驚きました。

 「ですから、美顔鍼でも身体全体の状態を診て治療を行う必要があるのです。それがないと心を映し出す本当に美しい表情というものを作ることはできません。厚化粧で顔をつくっている状態ににているのかもしれません。本来化粧などしていないほうが綺麗なんです。化粧をしていない顔に対して、自分がどこまで筋肉を動かせるかが大切なのです。」(佐藤直史先生)
 
 周りの人まで楽しくしてしまう笑顔。佐藤先生のお話を聞きながら、健康美という言葉を思いだしていました。
 
 
 
(文/青樹洋文 ただいま治療中…)

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