佐藤先生が治療所に勤めるようになって4、5年目の頃、どうしても分からないことがあり、あるデータを取ったそうです。
それは、整体師の先生が背骨を診た時の患者さんのパターン、鍼灸師の先生が脈診や問診、触診をしたときのパターン、そしてレントゲン写真の状況。この三つのデータを約200人の患者さんで、照らし合わせたそうです。
すると、どうしても1割わからないことがある。脈状でも、触診でもそうなのに、全く違う症状が現れていました。
「この1割は、交通事故などの突発的な事故や、予測できないストレス、突然の環境の変化が原因であることがわかりました。そのような症状は、脈診や触診では出てこないのです。」(佐藤先生)
「人間の身体の状態を10とすると、9割が通常の働きをしています。そして、1割が通常ではない働きをします。通常は、この9割が、処置したり、休養をしたりすることで体を守っています。しかし、時にそのたった1割のことが、人を戸惑わせ、リズムを狂わせ、イメージを壊すのです。」(佐藤先生)
「皆この1割のことで惑わされます、逆に1割のことで良くなる人もいます。今の世の中全体もそうだと思うのです。」(佐藤先生)
佐藤先生に鍼を打っていただくことで感じ始めた私の健康への自信。それは、今もしっかり通常の働きをしている9割の部分と、事態を好転させてくれるかもしれない小さなひらめきを、診療所のベットの上で感じさせていただているのからなのだと思います。
(文/青樹洋文 ただいま治療中…)